ときどき、お子さんのいらっしゃらない方、もしくはお子さんが自分の手を離れた年配のかたから
「お子さんとのお出かけ楽しそうですね」
と言われることがある。
うむ。
うむうむうむ・・・。
たしかに楽しいときもある。感覚としては5回出かけて1回くらいだろうか。
いまから話すことは、つい昨日、実際に我が家で起こったことだ。特に育児に携わってないかたが読むと「そんなアホな!」と言いたくなるかもしれないが、これはうそ偽りのない真実であることをここに誓う。
みんなが健康な日曜日が到来した。
我が家には4歳の息子と1歳の娘がいるが、2015年がはじまってから初めて、家族全員(夫婦含む)が健康に迎える日曜日だった。基本的には子どもたちのどちらかが体調を崩しているのだが、めずらしく子どもが元気なときであっても、夫婦のどちらかが体調不良という日が続いた。ちなみに私は正月早々インフルエンザに感染した。
それからここ最近、妻の仕事が忙しいことがあり、子どもたちに我慢をさせていた面も多かった。久しぶりの家族みんなでの外出、きっと子どもたちは喜んでくれるにちがいない、私はそう思っていた。しかしすでにその時点で悪夢ははじまっていたのである・・・。
目的地が決まらない。
前日の土曜日に「明日は家族で外出しよう」ということになったが、行き先が決まらない。我が家は車を所有していないので、目的地はある程度限られる。レンタカーを借りるという選択肢はあるのだけど、土曜日に元気な子どもたちが日曜日に突然体調を崩すことはしばしばあることだ。だからレンタカーの予約はかなりリスキーなのである。
私は福岡市在住で、地下鉄で出かけられるところにしようということになったのだが、これがなかなか難しい。子どもが喜んでくれる場所というのはもちろんだが、やはりぼくら夫婦もランチとかスイーツとか、ちょっとしたご褒美がほしい。
だが4歳と1歳の子ども連れでおいしいランチを食べられるところなど限られているのだ。いやもちろん、食べようと思えばどんなところでも食べられるんだけども、食べてる最中に子どもがギャーとなると目も当てられない。
ちなみに福岡には、食品をモチーフとしたキャラクターが集うアンパンマンミュージアムなるものが存在し我が家からも近いのだが、入場料だけでひとりあたり1500円を取られる。しかも1歳の娘であってもその金額を取られるので、入場するだけで6000円が飛んでいく。そして一度その場に足を踏み入れれば食事をしたりお土産を買ったりで簡単に数千円が消費される。
もちろん子どもたちは喜んでくれる。しかし誘惑が余りに多すぎるのだ。ということで今回はパス。(ちなみに我が家はすでに2回訪問してそれなりの金銭を貢いでいる)
話が脱線したが、結局前日までに目的地を決められず、さらには当日になっても決められず、決まらないまま家を出た。こーゆーのを見切り発車と言う。ほら、なんだか悪魔の足音がすぐそこまで近づいているような気がするでしょう?
家の敷地から出るのに30分が経過する。
目的地は決まってないが、とりあえず地下鉄に乗ってどこかに行こうくらいは妻と決めて家を出た。我が家は集合住宅で、敷地内にちょっとした公園があるのだが、まずこの公園で子どもたちが遊びはじめた。無理矢理遊びを中断させると、ものすごく機嫌が悪くなるし、そもそも目的地が決まってないしで、30分が経過した。
ちなみに子どもたちはすごく楽しそうだった。あれ、もうこれで目的の半分は達成したのと同じじゃね?ていうくらい、楽しそうだった。思えばここで家に帰ればよかった。
財布と定期を忘れる。
普段私は、財布と定期を仕事用のかばんに入れているので、休日のおでかけのときはそこから取り出さないといけないのだが、すっかり忘れていた。財布は妻が持っていたので、とりあえずなんとかなった。定期は、持っていれば交通費がかからなかったのだけれど、泣く泣く切符を購入。まあ、この不運は私の注意力不足が原因なので子連れかどうかは関係ない。単に悔しかったから書いただけ。
地下鉄で娘荒れる。
まあ、これは仕方のないことだ。大人にとっては大した時間でなくとも、子どもにとっては退屈きわまりない。しかも地下鉄だから景色はなにもないし。
1歳の娘を妻がひざに乗せようとするのだが、口をへの字に曲げ、両手を伸ばしてえびぞりし、床へと滑り落ちる。しかし第二子ということもあり、これくらいは我々も想定内だ。iPhoneの力を駆使してアプリ(妖怪ウォッチ)で注意をひき、その場をしのぐ。
博多駅に到着するも、お店で食べるのを断念しお総菜を買う。
さすがに地下鉄に乗るころには目的地を確定し、博多駅に向かうことにした。博多駅の屋上には「つばめの杜ひろば」という子ども向けのスペースがあって、季節限定でちょっとしたスケートも遊べることが分かった。4歳の息子もスケートは初めてなので喜んでくれるかもしれない。
博多駅には「くうてん」という小洒落たレストラン街があって、そこでランチを食べる予定だった。しかし博多駅に着くとちょうど12:00。家の敷地内の公園で遊んでいたため到着が遅れ、お昼どんぴしゃの時間になり、お店に並ぶことが懸念された。(子連れの我々にとって、お店の前で並んで待つというのは死活問題なのだ)
それで、泣く泣くデパ地下のお総菜を買うことにした。でもデパ地下だから! いつもの総菜よりもすごいんだから! と自分で自分をなぐさめた。
ちなみにこの総菜を、つばめの杜ひろばの寒空の下で食べた。もう一度言うが、つばめの杜ひろばは、博多駅の屋上だから。屋根なんかないんだからね。2月中旬だからね!
息子に音の出るおもちゃを買う。
つばめの杜ひろばには、子ども向けのおもちゃや駄菓子が販売されているのだが、そこで300円の音の出るおもちゃを買ってあげた。見た目はスターウォーズのライトセーバーみたいなやつで、取っ手を握るとキュイーーーン、キュイーーーンって音が鳴るの。LEDも光るの。
屋上にいるあいだは迷惑にならないかと自由に遊ばせた。で、建物のなかに戻るときに、
「いい? これ持っててもいいけど、音を鳴らしたら周りのひとたちの迷惑になるからね、鳴らさないって約束できる?」
「うん」
「よし」
そう約束を交わし、建物の中に入ってものの数秒後に、キュイーーーン、キュイーーーンと音が聞こえた。
息子からライトセーバーを取り上げる。泣き叫ぶ息子。よくある光景。
普段は大好きなものを食べたくないと言い出す息子。
息子からおもちゃを取り上げたものの、音を鳴らしたくなる気持ちは分からんでもないし、今日は子どもたちに喜んでもらうことが大事な目的だしということで、
「ドーナツかバームクーヘンでも食べる?」
と聞いてみる。博多駅の地下にはおいしいスイーツが目白押しなのだ。
正直に言えば、娘はベビーカーで寝ていたし、ぼくら夫婦もゆっくりお茶したいね、という下心はあった。なんせ総菜しか食べてないからお腹も空いてたし。
ところがである。
あれほど好きなドーナツもバームクーヘンも食べないというのだ。
「じゃあなにを食べたいの?」
と聞くと、
「アイスクリーム!」
と言う。アイスクリーム!? この寒いのにか! マジでか!
仕方がないので、アイスクリームを出してくれそうなお店を探す。一応見つかる。
ベビーカーでも入店できるか、待ち時間はどれくらいかを確認するため、とりあえずぼくだけが店の様子を見に行く。
15分程度で席に案内できそうです、ベビーカーもOKです!
と店員さんが言ってくれたので名前を書く。
ようやくこれで一服できるな、そう思って妻と息子のもとに戻ると
「この店行きたくない」
と息子が言う。
おそらく、ライトセーバーを取られたあたりから完全にへそを曲げているのだ。遊び疲れて眠くなってきたのかもしれない。いやいや、そんなことはどうでもいいのだ。とにかくお父さんの言う通りになさい、と言いたくなる。
だけどやっぱり、ドーナツもバームクーヘンも、この店入るのもイヤ。レストラン街で寝転がりそうになる息子。妻の疲れもピークだ。
「もうおうちに帰ろう・・・」
ぼくはそうつぶやいた。
帰りの電車で寝る息子。
やっぱり寝た。まあ、大人しくしてくれるからいいや、という気になる。なんだか私も妻もすごく疲れてる。でも、娘も寝ているし、このまま家に着けば子どもふたりが昼寝というめったにないゴールデンタイムだ!
電車を降りると、15キロの息子を抱きかかえ、10分程度の道のりを歩いて帰った。さすがに重い。しかしタクシーを使うにはあまりに近すぎる。左に右に、なんども抱きかかえ根性で帰った。すべてはゴールデンタイムのためだ。
無事に家につき、息子を布団に置く。
ため息をつく。
やった、ついにやった、がんばったね自分!
と思った瞬間、息子起きる。寝起きが悪くチョー不機嫌。
ベビーカーから泣き声が聞こえる。娘も起きた。
ちなみに娘は、おむつをかえている最中におしっこをして、床が濡れた。
さあ、いかがだっただろうか。これがなんの脚色もされていない、とある日曜日の光景である。ひとはこれを「幸せ」と呼ぶのかもしれないが、私はその高みにいまだ至れていない。
ちなみに、夜寝る前の息子に
「今日一番楽しかったことはなに?」
とたずねてみるとライトセーバーを買ってもらったことだった。お出かけ前に家で見ていたDVDとか答えられなくてほんとによかった。
夜にはたたかいごっこと称してライトセーバーでむっちゃたたかれたけどね!
翌朝、長時間の抱っこのせいで筋肉痛になっているぼくのズボンに、息子がこんなシールを貼っていた。
あとではがそうとして、すっかり忘れて職場まで行った。これもまた、小さい子どもいるとよくあること。おしまい。
お昼にチョコをもらえた喜びをつぶやいたところですが、あまりにうれしかったせいか食べてる最中に手が震え、床に落としてしまいました…。あまりに汚れがひどいところに落ちたので、なくなく一粒断念しました。
立ち直ってつぶやくのに、数時間を要しました。
— ほう太パパ (@houta30) 2015, 2月 13
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